フェンネル

(フェネル・フェルネル)

●英名:Fennel
●和名:ういきょう(茴香)
●学名:Foeniculum vulgare Miller
●科名:セリ科 多年草
●原産地:南ヨーロッパ、地中海地方
●主な産地:シリア、インド、エジプト、イギリス、ドイツ、イタリア、フランス、ハンガリー、レバノン、ブルガリア、北アフリカ、中国など

 もともとは地中海沿岸に野生するセリ科の多年草本だが、現在は世界中で栽培されている。おもに種子をスパイスとして用いるので「フェンネルシード」ともいう。無数の細くやわらかな葉が広がり、見た目はディルとよく似ている。この葉や茎、株元をヨーロッパでは生のままサラダに入れて食べることもある。

 フェンネルは中国を経て日本へ渡って以来、昔からよく知られている植物で、和名はういきょう(茴香という。現在、日本の農水省の統一名称は「フェネル」。イタリアではよく葉や茎をサラダにして食べるが、これは「フローレンスフェンネル」または「フィノッキヨ」と呼ばれる根元が肥大化する品種である。こちらは種子をスパイスにするフェンネルとは異なり、一年草である。

フェンネルの香味

 フェンネルは品種により、また産地によってもその味や香りが異なる。種子を乾燥するとアニスによく似た甘い香りと若干の苦みがあり、樟脳(しょうのう)* のような独特な香りがある。ディルとも似ているが、より甘く繊細な香りである。

 この独特な香りはアネトールとフェンコンという2つの成分のバランスによるもので、品種によって香りも若干異なる。フェンコンが多ければ甘さが弱く苦味が強くなる。

*樟脳とは…クスノキを蒸留してつくる半透明の結晶。防虫剤・防臭剤などに使用される。

フェンネルを使ったおいしい料理

フェンネルの種子は細かく砕いたり粉状にするとパンやお菓子など甘い物によく合う。砕いた種子は、中国の「五香粉」に欠かせないスパイスでもある。

フェンネルの香りの成分には矯臭効果あり、別名「魚のハーブ」とも呼ばれるほど魚料理と相性がよい。魚の生臭さや脂っこさを消し、すっきりとした味になる。中国名では「茴香(ホエイシャン)」といい、鮮度の落ちた魚に用いると香気が回復することから名づけられたといわれ、やはり魚との適合性をよく表している。魚料理には生の葉を用いる。細かく刻んでソースに入れたり、そのまま料理の飾りつけにする。日本料理ではさばや鮭の料理によく使われる。

フェンネルの薬効

 フェンネルの精油には健胃、駆風、去痰(たん)作用があるとされる。またフェンネルの種子は古くから和漢薬として用いられてきた。急性腸カタル、脚気、嘔吐、腹痛などに処方される。

フェンネルの栽培方法

 種子または株分け法によって行う。株分けによる栽培は収穫量は多いが、株の老朽化が早いので、一般的には種をまく方法で栽培する。

 春に種をまくと10〜14日で発芽し、7月ごろに花が咲く。葉や茎はいつでも収穫できる。8〜10月に実がなり緑色の果実が黄変して褐色の縦条が現れたら順次はさみで果穂を切り取る。熟しすぎると黒色に変化するので要注意。切り取った果穂はよく乾燥させ、脱穀して種子を得る。

 フェンネルは多年草で1年目の収穫量は少ない。2年目から増えて3〜5年目がいちばん多く収穫できるが、年数がたつと根腐れ病を起こしやすいので注意する。繁殖力が強く、こぼれた種でも増える。特に近縁種のディルを植えていると交配しやすいので離して植えること。

フェンネルとカレー料理

 フェンネルは、芳香性のスパイスとして、カレー料理にもよく使われている。
 フェンネルの甘い香りの主成分であるアネトールには、肉の脂肪分を分解し消化を助けるという、肥満防止作用がある。カレー料理には肉が使われることも多いため、女性(もちろん男性も)にとっては、この作用は嬉しい限りである。
 また、カレー料理店に行くと、レジの横にフェンネルを置いているところがある。これは、お口直し(口臭予防)のためで、食後にフェンネルを数粒口に含んで噛むと、口の中をサッパリさせる効果がある。リラックス効果もあるので、カレー料理店で見つけた際には、ぜひ一度お試しを。